東大卒無職が働かずに生きるブログ

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人間失格3

伊藤潤二の漫画『人間失格』3巻を読んだ。

ドケチの私がフルプライスで漫画を買うのは近年あまりないのだが、この作品はやはり読みごたえがある。本作の主人公であるところの大庭は今までは原作がそうであったように太宰をモデルにしたものと思われていたが、今回なんと別に太宰治の名を与えられたキャラクターが登場してしまった。脳病院で太宰を見た大庭は、彼が自分のドッペルゲンガーではないかと疑いを持つ。

 

こういった描写から、私はこう考えた。太宰の作品あるいは彼の生き様を観て、共感を覚えそこに自己を見出す我々の分身として描かれているのが本作における大庭というキャラクターではないか。要するに、彼は太宰ではなく、なんと私(あべっちんぐ)であり、あなたでもあるということなのだ!

 

しかし、3巻では主人公はキメセク不倫とか、いろいろやりたい放題であった。

まさに退廃の極み。

画力はやはりさすがに高く、伊藤潤二の全盛期よりは若干翳りがみえるような気もするが、それでも一流なのは疑いなし。

強いて不満を挙げるならば。かつては人を信頼する天才であった大庭の妻が猜疑心から発狂していく描写。

強迫性障害っぽい症状から統合失調症っぽい被害妄想とか、とりあえずそれっぽいものを列挙する感じがなんか陳腐に感じないでもなかった。

 

とはいえ、やはり伊藤潤二は多才だなあ、と思う。

ホラーを基調にして、色んな引き出しがある。猫飼うエッセイとかもあるし!(動物好きの私にはこれもかなり良かった)