東大卒無職が働かずに生きるブログ

東大卒が感じた社会の厳しさを綴るブログです。開発したサービス(フリマルっていいます)の話もちょくちょく

銀行の営業は、やってる方も辛いんやで?って話

こんにちは。せり沢です。

 

今日は、銀行の営業について書こうと思う。


預金、年金、保険、投資信託、クレジットカード、カードローン……。

これらの営業をするのはどこの銀行でも大差ないと思う。

 

 

 

営業のプレッシャーについて

 

私のいた店舗の壁に、個人の営業成績が張り出されていたことを思い出す。

ノルマのことで直接詰められることは多くなかったが、無言のプレッシャーは至る所に存在していた。

 

とにかく契約をとらないとやばい

 

そんな謎の空気を新人銀行員の私は感じていた。

 

しかし、考えてもみてほしい。

 

ねえねえおじさん!いきなりだけどカードローンやろうぜ!!

 

と銀行員にいきなり言われて

 

は?そんなんやるに決まってんじゃん。はよ契約の書類持ってこいや!

 

と応じてくれる神のような客がどれだけいるだろうか。

 

そもそも、「金融商品の営業」、それ自体にだいたいの人は警戒感を持っている。

 

「怪しい」

「ぼったくりじゃないの?」

「なんで銀行に税金払いに来ただけなのに投信買わないとあかんねん」

 

こう考える人が大半だ。

 

ぶっちゃけ商品自体があんまり……

 

ぼったくりというのは結構当たっている。
投資信託を例にとると、基本的にネット証券を利用した場合より高い手数料を取られることになる。
全く同じ商品を買った場合でも、多い金額を払わされるということは普通なのだ。


これは、営業要員の人件費を顧客から徴収する手数料でカバーしなければならないからである。

 

ちなみに私はネット証券で
合計40万円ほど株やら投信やらを買っているが、販売に関する手数料は実はまだ1円も払っていない。(ありがとうマ○ックス証券!!)


知識のある人は知っているが、銀行で扱ってる金融商品は質が悪いものも多いのである。


それに加え、そもそも銀行では、扱う商品自体に「ブランド価値」を付加しにくい

 

「金に色はない」とはよく言ったものだ。

三菱UFJ銀行からもらった1万円のほうが、みずほ銀行からもらった1万円より価値があるとか、あり得ないし。

 

お金それ自体を商品として扱っている以上これはどうしようもないことだ。

 

それでも売らなければならない


……商品それ自体はどこも似たり寄ったりであることはわかった。

しかし、現実的に銀行側も契約を取っていかないと利益を上げられない。

では、どうするか。


基本的な方針は、とにかく声をかけまくることである。

 

例えどんなに契約成立の可能性が低くても、とりあえず声をかけてみる。

 

断られた?

 

そんなの当たり前だ。はい次。

 

と、このプロセスをひたすら繰り返せば実際契約がとれる。

営業マンに成約率1%程度の実力しかなくても、500人に声をかけて一件も契約が取れない確率は0.66%以下だ。

 

私の営業体験談と


私が初めてカードローンの営業で成功した時のことを書こう。

 

とある水曜日の昼下がり、おじさんがのっそりと私の店舗に入ってきた。


おじさんはそのままソファにすわり、店内をぼーっと眺めている。

 

先輩銀行員から無言の圧力をかけられた新人の私は、さっそくカードローンの営業に向かう。

まずは、世間話から入ったほうがよさそうだ。

 

「いや~今日は暑いですね」

 

おじさんが反応する。

 

「あん?そりゃ暑いよ!今人を待ってんだ!ちょっと(このソファに)座ってても良いだろ?」

 

……やや語気が荒い。

 

「もちろんですよ。ところでお客様、ただいまこちらのカードのキャンペーンやってまして……」

 

「え?何?契約すればいいの?しゃーねーなー、書類持ってきて!

 

 

びっくりするだろうが、本当にこういう客がたまにいるのだ。

 

 

ちなみに、私はこの時気づいたのだが、このおじさんは泥酔していた

 

結局年齢制限に引っかかったので、この客はカードローン成約とはならなかった。

 

しかし、この件は「銀行員の営業とは果たしてなんなのか」と私が考えるきっかけになった。

 

基本的なスタンスは「数うちゃあたる」だが、徐々に「契約してくれそうな人種」というのがわかってくる。

私にとってそれは、まず「プライベートな用事で銀行を訪れ(=今仕事中ではない)」ていて、「服が安そう」で「正社員として働いていなさそう」な「中年女性」だった。

 

私の場合、なぜかおばさんの方が契約にもっていける確率がかなり高かったのである。

ちなみに同期の女の子たちは、おじさんからばっかり契約を取っていた

 

……つまり、そういうことであろう

 


「いつまでこの営業やってるんだろうな……」

 

私は毎日考えるようになっていた。

 

先輩をはじめ行内の人間が大体うざかったこともあるが、自分のやっている仕事がなんというか早くもあほらしく感じられるようになっていた。


……私が銀行を辞めたのは、この一か月後のことだった。