長期投資家の弱点~スルガ銀行を例に~
しっかりとした企業に長期投資する戦略はかなりベターに思える。
しかし、その戦略にも弱点がある。
それは、致命的な不祥事に弱いことである。
バフェットをリスペクトした本には、ブランドや確固たる競争力を持つ企業が不祥事で買いたたかれている時は、むしろ長期投資家にとっての買い時だと書かれている。
それはその通りなのだろう。
私が言っているのは、そもそもその競争力自体が嘘っぱちだった場合、あるいは不正な手段によって維持されているに過ぎなかった場合である。
昨日、スルガ銀行の不適切融資の総額が約1兆円にのぼるというニュースが出た。そして今日、そのスルガ銀行は9時半になる前にストップ安をつけていたと思う。
少し前、かなり信頼のおけるバリュー投資家の方が、スルガ銀行を推していたので私はこの銘柄をウォッチしていた。業務停止命令がでるかもしれないことなどから、買いは全く入れていなかったので今回の件には巻き込まれなかったので、ほっとする思いだ。
そのバリュー投資家の方は、スルガ銀行ほど高金利の融資ビジネスを行える銀行は他にないとおっしゃっていた。当時既にシェアハウス問題などでスルガはぼろくそに叩かれていた。おそらく、彼はスルガ銀行の強固な財務基盤なども検討したのだろう。そしてスルガがこの危機はなんなくしのいで、いずれ復活することは明白であり、投げ売りされている今まさに買うべし、と判断したうえでの発言であったのだろうと推測する。
しかし、スルガの高利融資ビジネス自体が不正のもとにしか成立しえないようなものだとしたら、同行の本質的な価値への評価は全く異なったものになる。
今のところ私には同行は落ちてくるナイフでしかない。最も、ある種のリスクヘッジのために、銀行株がもう一つくらい欲しいと考えているので、配当利回りが4%を超えるようなことがあれば少しは検討するかもしれない。値段も手ごろになったしね。
(ちなみに今一番欲している銘柄はジョンソン&ジョンソンなのだがアメリカ株故に為替の問題などまだまだ分かっていないことが多く、買いあぐねている)
という訳で、どんなに情報を吟味して、優秀な企業を選別しようとしても、前提となる情報自体に嘘や不正が含まれていると、長期投資も危うい、という話だった(ってこれ別に長期投資に限らんやんけ!)。