東大卒無職が働かずに生きるブログ

東大卒が感じた社会の厳しさを綴るブログです。開発したサービス(フリマルっていいます)の話もちょくちょく

クレしんの「オトナ帝国」に感じる皮肉

深夜に書いている文章なのでおかしいことを言うかもしれない。
youtubeできのこ帝国を聴きながらなんとなく書いている。

昨日アマゾンプライムクレしんの映画、「嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」を観た。

以下ネタバレあり。

 

 

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これは、20世紀が大好きなおかっぱのおじさんと美人のお姉さんが、20世紀で時間が止まっているノスタルジー溢れまくりの空間を形成し、そこにヒロシやミサエを含めた大人たちを洗脳(?)し、監禁するというお話。

 

序盤はかなりホラーなテイストで、急に「親」「大人」としての役割をぶん投げて子供に戻ったヒロシやミサエの姿がなんともマッドでいい味出している。

 

さすがに序盤のホラー調が続くと観ている子供にはキツすぎるからか、中盤からはギャグが増える。

大人たちは大気に放たれた懐かしい匂いによって洗脳されており、あまりに臭い自分の足のにおいを嗅がされたヒロシは洗脳が解ける。同じくヒロシの足の臭いによってミサエの洗脳もあっさり解除され、のはら一家は敵の野望を打ち破り、21世紀を生きる、とそんな話だった。

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子どものころにテレビで観て以来2回目の視聴となったが、結構感想が変わっていることに気づく。
まず、大人社会での苦しみを知った今、敵の二人が滅茶苦茶良い人にしか見えなかった。まじで、現代社会に降臨してほしい。

 

クレしんって実は保守的な作品だ。

 

初め、20世紀が美化された描写はいっぱいあるのに、21世紀の良さ、のはら一家があんなにまで大変な思いをしてつかみ取った21世紀にどんな良いことがあるのかあまり描写がなかったので、説得力に欠けるように感じていた。しかし、これは単に私の目が腐っていただけで、誰も「21世紀はこんなに最高だぜ?」という話はしてなくて、単に家族で生きたいから、そしてしんのすけは大人になりたいから、俺らは21世紀に進むぜ、って言ってたのである。

 

ほんで、クレしん内の家族像とか人生像ってある意味前時代的なんよね。
ヒロシ(=夫)は会社で仕事、ミサエ(=妻)は専業主婦。子供は2人で、ローンはあるけどマイホーム持ち。犬も飼ってる。

 

まあ、2019年の衰退した日本から見るとヒロシが勝ち組すぎるってのはよく言われることだけど、本当そうだよね。

それプラス、クレしんの中の家族って、結構昔ながらの性別役割意識を基礎に成り立ってるところがある。

 

作品内にも結構そういう描写があって、ねねちゃんがバスを運転するシーンで「私はバスガイドがよかった」とさりげなく発言したり。

 

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今でも好きな映画だけど、もう日本では(特に東京では?)「家族」の在り方も変化してきてるし、日本の経済衰退と並行して個々人の人生像もだいぶ変わってきた。
そのうち、この映画は徐々に忘れられていくのだと思う。

 

皮肉なことに、もはやクレしんの世界観こそが日本人にとっての「還りたいあの頃」になってるんじゃね、って話でした。

 

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あと妄想代理人っていうアニメの最後の方の話に凄い似たエピソードがあったなあ。